孤立、孤独にならないために「聴こえること」の大切さを学ぶ講座が開かれた。高齢者のための地域コミュニティーづくりを目指す「NPO法人 生きいき・すまいづくり/生きいきサロン」が主催した。
講師の大貫悦信氏は、父親の難聴体験から補聴器について強い関心を持った。氏の父は何個もの補聴器を買い替えたが、終生、使いこなせないままだった。家族は「補聴器をつけて」と口癖のように要求、大声で話す、言葉を繰り返す、テレビは大音量等々、ストレスが蓄積した。外に目を向けてみると、よくある出来事だった。「そんなにも補聴器が使えないのは何故?」と、探求のきっかけとなった。
補聴器を使わなくなる理由
雑音に悩まされる・器具で耳をふさぐ この2点が主な理由だが特に雑音に苦しむようだ。
人間、聴こえの悪い期間が長くなると、無意識のうちに「脳が頑張っている」。そこに聴力を補う器具の装着で、音をより敏感に聞き取ってしまう。結果「雑音に悩む」というメカニズムだという。
「運転ができないのに車を買いますか」と。「補聴器も慣れてから買うもの」。それには「頑張っている脳」を、落ち着かせる期間をつくり、徐々に聴こえるようにしてく調整力が必須。
新聞社が注目
難聴の放置は、自身も家族も幸せが遠のくとの考えに至り、大貫氏は画期的な販売方法を生み出した。「補聴器は慣れないと売りません」というもの。これを数社の大手新聞が取り上げ、全国に知られることとなった。補聴器を「補幸器」と捉え、来客の悩みに寄り添いベストな調整をくりかえし、時間を掛け、慣れたら販売する。
近年、難聴は認知症のひとつの要因と分かっている。コミュニケーションが不足し、閉鎖のスパイラルに陥るからといえる。
残念な人生にならないよう、補聴器と早めに向き合うのがいいようだ。講座終了後、多くの質問が寄せられ関心の高さがうかがえた。
【参考】
■生きいきサロン:介護予防・健康寿命の延伸と地域コミュニティーづくりを目指して
心身ともに豊かな高齢社会にするために看護師・栄養士・介護ヘルパーなどのスタッフが
揃うNPO法人生きいき・すまいづくりの関連機関。脳トレ体操や、ゲーム・談話など回ごとに工夫を凝らした取り組みで健康増進。
・毎月第1・2・4木曜日に開催。13:30~15:00 予約無用参加費100円(手作りおやつ付)
・毎月第3木曜日のみ11:30~13:30昼食会。要予約 参加費400円
5月第1木曜日は令和のカレンダー作りその1 予約無用
※サロンの問い合わせ先:090-5325-2846(片山)
場所:菅北浦3-4-10 アイリスコート103号(長松寺隣接)
脳をおちつかせないと・・・。
言葉を理解する事。とても大事。
さかな・たかな・佐藤・加藤が聞き分けられているうちに補聴器を
15名の参加者は高齢にもかかわらず、熱心に講師の話に耳を傾けた。講師は講座終了後も何人もの方の質問に応えていた。
難聴の兆しに気づいたら、早めに補聴器と向き合うのがいい。今の補聴器は目立たないし耳もふさがないなど、ストレスのない使用感。恐れる意味がなく、先送りを続けて取り返しのつかない事態だけは避けたい。