シニアリポーターの取材リポート リポーターが取材したイベント情報をご紹介!

おむつゼロの特養ホーム きたざわ苑

取材日 2016年06月30日(木)

トイレでふんばる君

トイレでふんばる君

 福祉現場の声を聞き、福祉製品とサービスの向上を目指す、福祉とものづくりの情報交流の場であるJカフェが多摩市民館で開かれた。
主催は、かわさきJプロジェクト+ (電話:044-422-7730)
今回の題目は「おむつゼロの特養ホーム きたざわ苑の介護」
プレゼンタ―は、岩上広一氏(世田谷区立きたざわ苑 施設長)
世田谷区立きたざわ苑は、平成13年開設の公設民営の特別養護老人ホームである。岩上広一氏は、何事もできいう信念で、科学的介護理論に基づいた様々な取り組みを実践し、大きな成果を挙げ、注目を集めている。


24時間おむつゼロが実践できた。(尿漏れパッドは使用)
1 良いうんちを作る為に、毎日、1500ccの水分補給(好みの飲料水でよい)、1500kcalの食事、3.2kmを歩く程度の運動を行う。 ☆ 基本、下剤は服用しない。
2 トイレで、座って、排便する。
   便座に座ると、直腸は真直ぐになり、肛門は開く。
  
腹圧をかける姿勢をサポートするために「トイレでふんばる君」を使う。
   高齢者の排便リズムはすべて違うので個々の状態に合わせてケアをする。
3 つかまり立ちが5秒間できることを確認し、歩行を1歩から2~3歩と日に何度も繰り返し、少しずつ歩数を増やし、目標を持って行う。
 
 施設では、専門職が連携し、人生の終結に向けて豊かな心で過ごせるように四季の行事、食事を工夫をし、趣味活動もボランティアの皆さん(年間延べ3000名)が支援している。最後まで健康でいられるように支援することで、自宅に戻り生活することも、そのまま施設で暮らして看取られることも選択できる。

意見交換会(参加者はほとんど介護関係者)
 参加者 「人手が足りないので、難しい」
 岩上氏 「最初から全員と考えず、1~2人から始めたら良い。どんな介護も施設で統一して実践することが大切です」

岩上氏のアドヴァイス
  
  人は必ず死ぬ。「自分の最後は延命装置を使うか自然死か」を親族に話し文書化しておくと、本人の意思を尊重でき、親族の精神的負担を軽減することになる。

きたざわ苑:東京都世田谷区北沢5-24-18 (電話:03-5453-5620)




   
取材同伴者名:吉川 眞沙美
多摩市民館
勝野井 央子
シニアリポーターの感想

  岩上施設長の優しさと情熱には頭が下がります。
私達姉妹は30年以上前、父を老人病院に託しました。ある日お見舞いに行くとベッドに縛られ、ベッドの上での排泄を強要されていました。まだ歩けるし、しゃべれるのに。当時は認知症患者のホーム入居は難しかったのです。近年、老人学の進歩は目覚ましい。認知症患者も老人ホームに受け入れてもらえるようになり、入居者本位の介護、医科学的な介護、機能訓練用マシーンを使ったパワーリハビリテ―ション、そして様々な介護機器ができて、私たちのターミナルは明るくなりそうです。でもPPK(ピンピンコロリ)と逝かせてください!七夕さま☆☆☆