シニアにとってあまり考えたくないけれど考えておかなければならない大切なこと、それは「自分の最期」についてである。ノンフィクションライター中澤まゆみ氏のミニ講座「おひとりさまの終活~おひとりさまでも最期まで在宅」は、不安をやわらげ、準備のために行動を起こすきっかけを与えてくれる内容であった。
希望者は定員の3倍
高齢者の間で本テーマへの関心が高まっていることを反映しているのだろう。主催者(川崎市高齢社会福祉総合センター)の話では定員100人に対し約300人の応募があった。定員枠拡大で当選し集まった約170人はシニア世代が大半だったが、中年世代も若干混じり、また4人に1人くらいは男性であった。
できます「おひとりさまでも最期まで在宅」
中澤氏は家族と友人が認知症になったことから認知症高齢者の医療と介護に深くかかわることとなった。とくに友人は一人暮らしで「在宅」に強くこだわったため、在宅で医療と介護を受けながら平穏に暮らすために必要なことは何かを追求することに。この経験を通して、高齢者に必要な医療の多くは在宅で行えること、医療と介護と地域の連携がうまくかみ合えば在宅で安らかに生活できると知った。「最期まで在宅」を実現するためのポイントは、どこで、誰に、どんな介護・医療、看取りをしてもらいたいか、元気なうちに意思表示しておくことだと言う。そうすることで、実際に介護が必要になったとき家族、訪問診療を行う医師、訪問看護師、ケアマネ、ヘルパー、友人、隣人(地域)などによるケアチームが本人の希望に沿ったケアが可能になる。在宅ケアについて、考えたことがない、家で話題にしづらいといった人がとても多いそうである。周囲との意思疎通ができなくなってからでは遅いのである。
参加した人の受けとめ
講演終了後に会場の出口で何人かに感想を聞いた。
・昨年父を見送った。自宅介護をしたが何をどうしたらいか手探りの介護だった。今度は母を悔いのないように看取りたいと思って参加。とても参考になった。(40代女)
入口の案内板
多くが早々に受付を済ませてしまった
多数の男性参加が印象的
住み慣れた土地で最後まで・・・をテーマに自分ができることはできるだけ頑張るという事。
またよく調べると様々な福祉サービスがある。それらに対応できる自身の柔軟な心も失わないようにしなければと思った。(石渡)
今はまだ自分の最期をイメージできないし、イメージするのが怖い。でも不安を解くには現実を見て問題にしっかり向き合わないと。そのための方向性はつかめたかなと思う。弱り始めた80代の家族のことも頭をよぎった。(関谷)